政策提言・時事問題リポート

2005/12/22

道路特定財源の在り方について

次に、道路特定財源についてお話します。 国では、2007年度の予算編成の中で、道路特定財源の一般財源化について議論が進められてきました。そして、その結果、私たち地方からの度重なる強い要望活動の甲斐なく、1,800億円を一般財源化することが決定しました。

この見直しについては、財政再建を急ぎたい財務省などが主張しているのでありましょうが、これに対しては、道路整備の受益者(運転者等)が財源を負担するという受益者負担の原則が崩れるなどの反対意見が出ています。

そもそも、道路特定財源とは、受益者負担・原因者負担の原則に基づき、自動車利用者が道路特定財源の諸税を負担し、道路整備事業に全額充当するというものです。しかも、ほとんどの税目では「暫定税率」として1.2倍~2.5倍の税率が設定されています。この暫定税率は道路整備を緊急に進めるために設けられたものであり、仮に一般財源化する場合には「暫定税率を維持したままの一般財源化は理屈に合わない」との意見もあります。税収に余剰が生じるのであれば、先ずは税率引き下げや税の廃止を議論すべきであるという意見も理解できます。

中央で行われている、道路はもう十分であるとか、税金の無駄遣いであるといったような主張というのは何を根拠になされているのでしょうか。東京のように地下鉄が張り巡らされ便利に移動できる町は、地方にはほとんどありません。車での移動に頼っています。特に栃木県や群馬県は自動車の保有率が全国トップにあります。慢性的な渋滞や、すれ違いが困難な道もまだまだたくさんあります。子どもたちの通学路になっているのに歩道が整備されていない道路も県内には600キロもあります。新設だけでなく維持補修が必要な箇所もたくさんあります。

地方からは一般財源化に反対する声が多く上がってきました。 根本的には、国は「経費削減と地方の自立を」というだけでなく、地方自治体が地域の将来像を自由に描いていけるように、上から公共事業配分をするというシステムそのものを見直さなければならないのではないでしょうか。 聖域なき改革という名をつければ聞こえはいいですが、それが地方の実態を無視したものであっては本末転倒になってしまいます。

地方自治体も地方議会も、人数を減らし、歳費を減らし、その他多岐にわたる経費削減努力をしています。栃木県も足利市も例外ではありません。一方、中央はどうでしょうか。社会保険庁による年金流用や、タウンミーティングの無駄遣いなど、我々民間人では普通考えもしないようなことが平然と行われています。まだ氷山の一角でしょう。我々が支払った税金ですから返してもらいたいくらいです。特別会計の存在やその中身についても国民には十分情報開示がされず、納得し難いものがあります。また、国会議員の宿舎が赤坂の一等地に330億円以上かけて新築され家賃相場50万円のところを9万円強というのも理解が得られるのでしょうか。これも我々の支払っている税金から出されます。参議院議員だって4人減らせば4人増やすということで削減努力は見えません。

地方分権というのは掛け声ばかりで、中央が自分たちの既得権益を手放そうとしないのであれば、分権も進展しません。真の地方の時代の到来に向けて、国を挙げて着実に前進していかなければならないと思います。