政策提言・時事問題リポート

2008/05/14

足利日赤病院の移転新築事業について

年に2回開催される、足利市執行部と足利市選出県議会議員との懇談会に出席しました。ここでは、足利市から県に要望する各事業についての説明があり、それに対し意見交換や情報交換が行われます。
 その他の項目で発言を許されたので、
1. ゴミ袋の有料化事業について、世帯間の不公平の解消と、ゴミ袋代金の使い途についてどのような形で市民に還元されるのか、十分な説明をしてほしい。
2. 土木事業について、本庁県土整備部に対し、要望活動を年1回でいいから行ってはいかがか。
3. 日赤病院の移転問題について
意見を述べました。

 3. の日赤病院移転問題について詳しく書きます。
 私は、
① 「県の立場からしても、足利市職員さんの汗をかいている姿は見え、情報提供もあるが、病院の姿が見えない。病院は市民に対し説明義務があるのではないか。」
② 「最も大切なのは新病院の建物に関することだけではなく、それ以上に医療の中身・質だと思う。どのような医療を提供できる病院となるのか、または目指すのか。市民は現状に決して満足していないと思う。市民の声を把握し反映する努力をすべきである。」
③ 「市と県から公金が入る。その他に、県は30億円を超える道路拡幅事業も行う。県にも県議会に対しても説明責任があるのではないか。」
という3点を申し上げました。
 これに対する市長のコメントは、
① 「医師は忙しいから、市民のところに行って顔を見せる時間はない。」
② 「患者は気分で印象が変わる。よく対応してもらえばいい病院だと言う。その逆もある。近隣他市の病院と比べてよくやっている。多くの市民は満足している。」
③ 「もし市立病院であったら、多額の財政負担が生じ、今頃は大変なことになっていた。それを民間病院に担ってもらっているのだから、公金で補助するのは当然のことである。」
というものでした。
 私の言葉が足りなかったのか、発言の趣旨を理解いただけなかったのかもしれません。
 公金(税金)を投入する以上は、その使い途について発言しますし、チェックもします。それが議員の仕事でもあると思っています。逆に、病院側は市民に対して、市民の代表である市議会に対して、説明責任があるのは当然です。
 近年問題となっている医師不足に対し、どのように対応するか。いかにして優秀な医師に来てもらうか。どのような高度な医療機器を導入するか。決定していないのなら、現在どのような努力をしているか。こういった病院の中身・医療の質に関する説明がないことを指摘しているのです。これらのことを市民は知りたいし、患者としての声や実情を伝えたいこともあろうかと思います。
 市立病院だったと思えば・・・というのも十分理解できますが、病院側の説明が十分でないことの理由にはなりません。

 私は医療の質の向上、つまり安心で安全な医療環境の実現について、一般質問や委員会を通じ継続して取り組んできました。「医療はミスとの連日の戦いだ」「患者はお客様ではない」といった主旨の論文を読んだこともあります。人間がすることですし、病院に行けば病気が治って当たり前、と思ってはいけないのかもしれません。
 患者は「ありがとう」という言葉を口にし、感謝の気持ちを持っていると思います。成功率が極めて低い手術に挑戦したが助からなかったとか、誠意ある態度で懸命に治療してくれた、というのなら苦情は出ないと思います。もし患者との間に誤解があるのなら、それを解く努力をすべきです。
 患者の気持ちや立場を理解するよう努めよう、親切に接しよう、こういったことは院長の方針次第ではないでしょうか。優れた院長が来てくれることを期待していましたが。

 私があまりこのようなことを口にすると、不自然な亡くなりかたをした父のことが根底にあるから、私的な感情だと言われるかもしれません。
 しかし、少子高齢社会が進行し、地方が置き去りにされていってしまう現状を見れば、誰もが安心して安全にかかれる病院がほしい、患者の声や視点が医療現場に反映される仕組みを作ってほしい、医療ミスをなくしてほしい、という願いは当然のことではないでしょうか。
 私は、この移転・新築事業が成功し、新生・足利日赤病院が、このような市民の願いを叶えてくれる、あるいは実現に努力をしてくれる病院となることを切望しています。そのために、県議としてできることは何かを考え、取り組んでいきたいと考えています。