政策提言・時事問題リポート

2009/12/14

定例議会が閉会しました

本日、12月議会が閉会しました。
国に対して提出をする意見書について、賛成するか反対するかの採決がありました。そのいくつかの意見書の概要について、報告いたします。

( 1 ) 「国として直接地方の声を聞く仕組みを保障することを求める意見書」
 地方の声を国政に伝える上で、主権者の代表たる地方自治体の長が、中央政府に対し陳情することは極めて重要な手段である。
 しかし現在、政府与党では、窓口を民主党本部・小沢幹事長室に一元化するシステムづくりに取り組んでいる。これに対しては、本当に地方の声が届くのか、と不安や危惧の声が多く上がっている。地方自治体の長は選挙で選ばれた地域住民の代表であり、中央政府とアクセスするのに何か制限があってはならない、という声もある。
 本来、政治と行政は役割を切り離して考えるべきである。行政への窓口を閉ざすことは、憲法で保障する国民の請願権を侵害することにつながりかねない。国においては、行政府として直接地方の声に耳を傾け、しっかりと受け止める適切な仕組みを保障するよう強く要望する。

( 2 ) 「地域医療再生のために必要な予算措置を求める意見書」
 国の21年度補正予算に計上された「地域医療再生臨時特例交付金」は、医師不足等に端を発した地域の医療体制の危機が急速に進む中、財政事情の厳しい地方自治体にとっては、地域医療に関する諸課題を解決するために必要不可欠な財源である。
 栃木県でもこれに呼応して、「地域医療再生計画」を策定し、これらの交付金を最大限活用しながら医療課題の解決に向けての取り組みを支援することとしていた。しかし、今般、政府による一方的な判断により、この交付金の一部執行停止が表明された。県としては施策の一部変更を余儀なくされ、地域医療再生に遅れが生じ、地域医療の崩壊を食い止めることが難しくなりかねない。
 よって、国においては、地方における地域医療再生の重要性を深く認識し、地方の実情や意見を十分に踏まえた政策決定を行い、改めて地域医療再生に必要十分な予算措置を講じることを強く要望する。

( 3 ) 「全員参加方式による全国学力・学習状況調査の継続を求める意見書」
 今般、文部科学大臣は、来年度より、小6・中3の全児童生徒が参加する方式から、一部の児童生徒が参加する抽出方式に変更する方針を表明した。さらに、行政刷新会議がこの事業を「事業仕分け」の対象としたため、さらなる規模縮小の可能性が出てきている。
 都道府県や自治体間の学力比較ができなくなり、地域間格差を是正する実効性が失われる恐れがある。
 来年は3年前に小6だった生徒が中3となり、この3年間の学習の成果を定点観測により検証できる初めての機会であるにもかかわらず、あえて抽出方式に切り替える合理的理由はない。何よりも、保護者から全国学力・学習状況調査に参加したいという声が数多くある。抽出対象となった子どもと、ならなかった子どもで不公平が生じることにもなる。
 よって、国においては、世界最高水準の義務教育を実現するために、全員参加による全国学力・学習状況調査を継続して実施するとともに、その調査結果を最大限活用するなど、さらなる充実を図られることを強く要望する。

 上記の3つの意見書案については、民主党県議だけが反対をしました。
 中でも ( 2 ) 地域医療再生、 ( 3 ) 全国学力テストについては、県議会議員50人全員で賛成をし、国に対して強く物申したいと思っていましたので、とても残念に思います。
 特に ( 2 ) は、地域医療という県民全体の問題であり、つまりは私たちの大切な命をどのようにして守っていくかという重要なテーマです。地域医療の現状に目を向けると、医師不足だけでなく看護士・助産師不足の解消、地域中核病院の機能維持、老朽化した施設・設備の更新、開業医や介護福祉施設などとの連携、など様々な課題があります。県として財政事情が極めて厳しい中ではありますが、少しでも解決していけるように、国に対し言うべきことは言いながら、努力していかなければならないと思っています。

 それ以外の ( 1 ) と ( 2 ) の反対理由については、反対討論を行わないので、民主党県議の考え、反対理由が分かりませんでした。民主党本部が決めたことだから右へならえなのか、自民党が決めたことだから気に入らないのか、そのような理由であろうと思いますが、そもそも、これは政党間の問題ではないはずです。
 我々は地方議員であり、与野党はありません。県をいかにして暮らしやすいものにしていくか、地方議会として考え、県執行部とともに働いていく立場にあるはずです。政争の具にされてしまったことは、本当に残念です。

( 3 ) については、反対討論がありました。その理由は、学校現場での負担が増えること、栃木県独自の学力テストは抽出方式で実施しているから矛盾があるということ、抽出方式でも全国と比較した学力は推計できること、でした。
 反対の主張を注意深く聞いていましたが、全く説得力がなく、反対の理由にはならないことばかりでした。
 資源に乏しい日本は、人材こそが宝です。これまで戦後の日本が発展してきた要因です。教育、科学技術に対ししっかりと予算を付けることは、まさに未来志向であり、将来への先行投資です。
 教育すなわち人づくりについては、今後も最重要課題として取り組んでいきます。